昭和大学病院への入院中、知らない間に希望していない薬を投薬され寝たきりとなった。  病院側は対応に問題は無かったと言う。 そこで、病院側の対応を記載し公で問いたい。  かつこの様な理不尽な対応が許される 医療業界の問題を考えるきっかけのにしたいと思いまとめた。

2018年02月01日

先日、wikiを拝見し、コメントをさせていただきたく思いました。
私は日本の内科系の学会専門医です。ただ、匿名とさせてください。

下記に、問題となっていそうな点について、それぞれコメントいたしました。

また、これは下記のコメントを読んで頂いたあとの方が、ご理解いただきやすいかもしれませんが、
裁判もしくは今後の話し合いで問題になる可能性がある点は、12.や13.のコメントを
中心とする点かと思います。具体的には、セレネースによる悪性症候群で小脳症状が発症する場合と、
リチウム中毒の後遺症として小脳症状が発症する場合を考慮する場合、蓋然性は後者の方が高いと
一般的には考えられます。
ですので、現在の症状が小脳症状であることを第3者の神経内科専門医から鑑定を受ければ、
少なくとも裁判は成立する様な印象があります。
あとは、リチウム中毒に対して病院側が適切な対応をとったか否か、
が争点になるでしょう。
ただ、この点は、法に詳しくない私の個人的な印象ですので、ご了解ください。
もちろん裁判をしない場合でも、一臨床医の感想として、読んでいただければと思います。

コメントの中には、医療上問題ない/問題がある、という表現が多いですが、
これは、第3者の医師の目(今回は正確には私からの視点ですが、おそらく10人に8人程度の医師は
同じ感想を持つだろうという意味です)から見て、その対応法に同意できる/できないという意味です。
全体的な印象としては、大学病院側がやや強気な印象があります。その理由は不明ですが。

以下、コメントです。

1. 本当に喘息だったのか
難しいところもありますが、おそらく喘息だったのでしょう。
感冒後の慢性咳をきっかけに喘息を診断されるケースは多いです。
日本呼吸器学会が出しております、咳嗽に関するガイドラインを参照ください。
https://www.jrs.or.jp/modules/guidelines/index.php...
その後、治療が不要になる程度にまでなったということは、そういうことも
あるという表現になるでしょう。
むしろ、治療が奏功したという意味もあるかもしれません。
医療的には、あまり問題にはなりにくいかと思います。

2. 8月の予約外受診でステロイド点滴をしたこと
経過を後から見れば、2012年中ごろの呼吸苦は心不全の診断で良いと思われます。
8月の予約外受診のときの呼吸苦も心不全によるものでしょう。
しかし、喘息発作と心不全は臨床的に見分けにくいことも事実ではあり、かつ、
過去のカルテに喘息を持病としているという記載があれば、喘息発作と考えてス
テロイド点滴を行った、ということは十分にあり得ることです。
これは、残念ながら、現在の医療が最初から間違いなく診療できる程に完璧ではないという点が一つ。
もう一つは、予約外受診の場合ですと、診断が不十分となり、症状に対する対応に追われることが
多いということもあります。
問題があるのは事実ですが、医療が不完全であることを、ご理解いただけると
ありがたいかもしれません。
ですので、医師が良く言う「この治療で経過を見ましょう
(問題があれば、そのとき、また考えましょう)」という言い方になると思います。

3. 8月の予約外受診で行ったステロイド点滴は心不全を悪化させたか
否定はできませんが、おそらく、それほど関与はしていないでしょう。
ステロイドはうっ血性心不全の場合には、慎重投与となっていることが多いと思います。
慎重投与とは、使用不可という意味ではなく、医師が判断すれば使用も可能という意味です。
喘息治療で良く用いられるソルメドロールやサクシゾンといったステロイド薬の
添付文書を参照ください。
添付文書は、下記のWeb siteで、一般名・販売名のところに名前を入れて検索実行いただければ、
入手可能です。
http://www.info.pmda.go.jp/psearch/html/menu_tenpu...
実際のところ、すでに心不全の状態に陥って呼吸苦がある場合、何もしなくても、
必ず、そのうち増悪します。よく言うのですが「既に階段から転げ落ちている途中」なのです。
ステロイドが後押したかもしれませんが、
大差は無かったと考えてもよいかと思います。

4.循環器科担当医より、退院か外泊を迫られたこと
これは残念ながら、特に大学病院などの大きな病院では、よくあることです。
救急設備を持つ大病院は、なるべく多くの患者を受け入れることが使命ですので、
主たる疾患の治療が終われば、そのような話は出てきます。
退院可能か、もしくはリハビリなどの目的で転院が必要か。それを見極めるために、
試験外泊をしてみましょうということはよくあります。
従いまして、退院か外泊を、と言われた事自体は、医療上は問題無いと思います。
ただし、退院不能であると考えた場合は、転院も考慮していきましょうということを、
事前に説明したほうが良いことは事実であり、もし、転院の可能性を全く示唆されないまま、
退院か外泊を迫られることになれば、困惑されることは当然ではあると思います。
このあたりは、カルテにその旨が記載されているかどうか、ということになると思います。
実際に循環器内科担当医が言及したかどうかは、また別の話ではありますが、事前の転院の
可能性についてカルテに記載されている場合は、医療上問題ないと判断されると思います。
記載されていない場合は水掛け論になり、不毛な話になってしまうでしょう。
個人的な感想としては、不適切であったにしても医療上の非を問うことは
難しいのではないかと思います。

5.帰れるかどうか怪しい状態だったのに、外泊をしたこと
これは難しいです。せん妄状態と判断された場合、病院内に居るという状況がせん妄状態を悪化させた、
と解釈されやすいのです。
せん妄状態とは、環境や疾患などのストレスにより、様々な精神症状が出現するという状態です。
入院自体が、せん妄の引き金になることはよくあることです。
従って、一度、もともと慣れている環境に戻ってみる、つまり一度、自宅に帰ってみましょうという
判断自体は、大きく非難されるべき点ではないと思います。
ただし、そのとき、実際にせん妄状態であったかどうかについては、現在、私はコメントできないです。

6.循環器内科に入院したのに、精神科が関与したこと
これは、ありうることです。
一般論として入院した場合、入院主治医が必要と判断すれば、他の科に関与をお願いすることは
よくあることであり、むしろ、それ自体は望ましいことです。
専門医が診察することになりますので。非専門医が抱え込んでしまうことは、医療上、
望ましくありません。
今回の場合ですと、すでに他院ではありますが精神科への通院歴がありましたので、
精神科へ関与をお願いすることは、むしろそうするべき、ということになります。
なお、既に呼吸器内科への通院歴もありますから…おそらく、今回の場合ですと、入院日もしくは
入院後1週間以内の早期の段階で、精神科と呼吸器内科へ関与をお願いする、ということが
通例でありましょう。

7.精神科受診を望まなかったのに精神科に受診したこと
これも難しいです。
最終的に精神科担当医との診察を経て投薬などを受けている以上、一般論として、
精神科受診/診察を同意した、と判断されることになるでしょう。
特に精神科では、患者−医師関係は重要ですので、同意無しで診察/投薬をしたとは、
通常、考えがたい…となってしまいます。
もし、「投薬を一切、拒否します」と精神科担当医の診察時に明言したとしても、
カルテに記載されていない場合は、水掛け論になります。
また、怒りなどをあからさまにしながら非協力的態度となってしまいますと、
これも精神科的症状の一環と判断される場合があり、その場合は、ご家族から情報を得て、
その情報に従って診断、
治療するということになるでしょう。
今回の場合、実際に非協力的であったかどうかは不明ですが、診療拒絶を精神症状の一環と
判断されたために、ご家族からの情報聴取となったのではないでしょうか。
ただ、この場合は、通常、ご家族にしっかりと納得頂く必要がありますが。
今回の場合ですと、「2016年2月1日 昭和大学病院から4回目の回答」の記載によりますと、
循環器内科担当医が精神科受診することを必要と考えた様子です。
その場合では、最終的に精神科受診を拒絶することは、事実上、難しかっただろうと思います。
医療上、精神科受診が必要と判断されれば、その後は、医師(今回は入院主治医)の裁量の範囲内という
言い方もできますので。

8.前医の精神科の診断と異なった診断を、精神科担当医が下して治療を開始したこと
一般論として、医療的には問題ないということになります。
結果論としては、いろいろあったことと思いますので、納得し難いかもしれませんが、
どの科であれ、前医の診断が誤っていると思われるので治療法を変えましょうということは、
医師の裁量の範囲内と言わざるを得ません。実際に、それでよくなることもあるわけですので。
ただ、もちろん、患者さん側の同意があることは、通常は、前提ではありますが。
躁鬱病と鬱病の鑑別は、常に問題となるところで、治療法がやや異なるのです。
以前、鬱病と診断されていたが、担当医を変えたら躁鬱病と診断が変わり、改善した、
というケースは、よくありますので。
望まなかったのに…という点は7.を参照ください。
なお、本当に躁鬱病だったか、もしくは前医の診断どおり鬱病だったのか、
については私はコメントできません。
もしかすると、前医精神科の診断も躁鬱病ではなかったか、と私は考えています。
下の9.のコメントを参照ください。

9.精神科からの処方内容について
「2016年2月1日 昭和大学病院から4回目の回答」を見てみますと、
「入院院時は、平成24年9月4日に Tクリニックから処方されていた、プロチアデン150mg、
セロクエル150mg,、リーマス600mg、リーゼ30mg、ダルメート30mg /日を参考に、
セロクエル150mg、リーマス600mg、リーゼ30mg,ドラール30mg /日を継続としています。」
とあります。
この内容が、真かどうかは私にはわかりません。
まず、前者を参考にして後者の処方にしたという点については、大きな問題はありません。
リーマスに関しても同量継続なので、大きな問題は、一般的な意味では無いのですが、
心不全等がある場合は...という問題点は残り、これについては、下の10.のコメントに記載しました。
そこで、前医精神科からの処方を見てみますと、すでにリーマスが入っており、前医精神科でも
躁鬱病と診断されていた可能性はあります。
その場合は、上記の「8.前医の精神科の診断と異なった診断を、精神科担当医が下して治療を開始したこと」
という点の前提条件が崩れます。
この点は、ご注意頂いたほうが良いかと思います。
精神科医が躁鬱病と診断しても、「まあ、だいたい鬱病です」の様に、口頭では患者さんには
説明する場合もありますので。
通常、大病院に入院するときには、前医精神科からの紹介状をFAXであれ入手することが多いので、
その紹介状が大学病院のカルテに入っていれば、そこに病名が記載されているはずですが...
とはいえ、いずれにしましても、下記の様にリーマスを使用していく上での大学病院側の問題点は残ります。

10.リーマスの使用に関して
躁鬱病と診断された場合、処方することは問題ないのですが、血中濃度の取り扱いに関しては、
医療的にやや問題があるかもしれないです。
躁鬱病の場合では、歴史的にもリーマスは良く用いるものです。
ただ、血中濃度測定が必須な薬剤で…
リチウム中毒の症例については多くの報告がありますので、ご存知のことと思います。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjphcs/41/8/4...
現在、Wiki上の経過を拝読した限りでは、正直なところ、精神科担当医がリチウムの血中濃度に
不注意だったかもしれないです。
リチウムは色々な原因により血中濃度が動きますので、心不全、腎不全のとき、脱水など特に
体液量が変化しやすいときは要注意なのです。
https://www.pmda.go.jp/files/000145551.pdf
心不全時には、通常、少量もしくはある程度の量の利尿剤を使います。
利尿剤は上記のリンク先にも記載がありますように、リチウム血中濃度を上げます。
また、心不全自体でも体液量が変化しますし、心不全に腎機能障害が併発することも多いのですが
腎機能障害自体でもリチウム血中濃度が上がります。
要注意の状態であったことは間違いないでしょう。
具体的には、もし、それまでの内服量で問題なかったとしても、血中濃度が跳ね上がる可能性がある
状態だったという意味です。
ただし、念のためですが、細かい処方状況や、当該病院でのリチウム測定がどういう状況なのか
(具体的には血液検体を提出してから、何日で血中濃度が判明するか)などが、不明ですので、
断言はできません。
とは言いながらも、血中濃度の取扱に関しては、医療的に問題があった可能性はありそうです。
また、もう一つ確認するべきことは、リチウム血中濃度が高いことが判明した後に、精神科担当医が
どのような対応をとったか、です。
これは、確認するべきことだと思います。
もし、悪性症候群とだけ判断して、リチウム中毒に注意が向いていなかったとしたら、
これは医療上の問題となりうるでしょう。
また、前医精神科でのリチウム血中濃度の記録を取り寄せることも、今後、必要となるでしょう。

11. セレネース/サイレースが投与されたこと
これは、「2015年11月4日 昭和大学病院からの2回目の回答」の通り、不穏状態と判断されたのでしょう。
実際のところ、良く行う対応です。
このような場合ですと、緊急的な対応となることが多いですので、事前に「こういうときに
セレネースを使いますよ」とは説明が無いことがほとんどです。
ですので、不穏と判断されセレネース/サイレースを投与されたこと自体は、医療上は問題ありません。
投与量も、「セレネースは1日5mg、サイレースは1日2mgを10月3日から10月6日まで継続」
であれば、異常な投与量では無いと言っても問題ないと思います。
実際に不穏であったのか、具体的にはリチウム中毒症状の一環ではなかったか、
という点については、私はコメントできません。
ただ、最も疑わしいものを考えていくならば…そのときのリチウムの血中濃度はわかりませんが、
リチウム中毒でも説明はできると思います。
しかし、ここでご理解いただきたいのは、もしリチウム中毒で不穏になった場合でも、
セレネースを使うという点です。
セレネースは、不穏の場合は症状を抑える目的で用いますので、おそらくこのときの使用法としては
対処療法的な使用法です。
例えば、アルコール中毒で暴れている様な患者さんにも対処療法的にセレネースを使用しますので…
(もちろん、本当は使いたくないのですが)。
従って、リチウム中毒で精神症状が出現していて一時的にセレネースを使用した、ということであれば、
医療上は問題ないということになります。
繰り返しますが、セレネースを一時的に用いる用い方は、通常、不穏に対する対処療法であり、
その場合は、必ずしも添付文書上の「統合失調症、そう病」のみに用いるものではありません。

12.セレネースによる悪性症候群で小脳症状が出現したこと
まず、悪性症候群であったかどうか、これは情報不足のため、私はコメントできません。
セレネースで悪性症候群が発症するか、といえば、発症し得るものです。ですので否定はできません。
悪性症候群の後遺症で小脳症状が出現するかということについては、やや難しいところです。
通常、悪性症候群の後遺症として出現する神経症状は、カタトニアとパーキンソン症状です。
小脳症状を後遺症とすることは、稀であるとは言えると思います。
しかし、報告はありますので、否定はできないということになるでしょう。
ただ、その頻度はかなり稀であろうとは言えます。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9519191

13.リチウム中毒の後遺症としての小脳症状かどうかということ
まず、You tubeを拝見した限りでは小脳症状の発声の印象があります。しかし、現時点では、
その他の身体所見が不明であるため、私は小脳症状と断言する自信はありません。
ですので、小脳症状かどうかという点については、コメントを控えます。
ただ、小脳症状とした場合、問題となることは、リチウム中毒の後遺症で小脳症状が出現しうるか、
ですが…
これは、十分出現しうる症状と言わざるを得ません。
英語の医学用語で恐縮ですが、irreversible lithium effectuated neurotoxicity(SILENT)という
概念がありますので、これをキーワードにして、検索いただくことが良いかと思います。
小脳症状(cerebellar dysfunctionやcerebellar symptoms)を伴うという内容が多く
確認できることと思います。
日本語の資料は、あまり無いかもしれないです。

14.デパケンRを用いたことについて
精神科専門ではありませんのでコメントしにくいのですが、躁鬱病であり、
かつリーマスの使用を避けるならば、デパケンRの使用はむしろ無難な選択肢だと思います。
従いまして、医療上は問題ないと考えられます。
なお、繰り返しますが、躁鬱病かうつ病かという点については、私はコメントできません。

以上です。

結論から言えば、リチウム中毒後遺症としての小脳症状というものが最も説明しやすいと思います。
しかし、念のためですが、上述の通り、いくつかの前提条件があることに留意ください。
例えば、本当に小脳症状なのか?とかです。

付け加えるならば、昭和大学神経内科に受診して小脳症状と言われたとのことですが、
この神経内科のカルテ上は小脳症状の原因は何が疑われているのか?という点は気になります。
神経内科のカルテも入手された方がよろしいのではないかと思います。

気がついた点を列挙しました。一臨床医の感想ではありますが、医者がどのように考えるか
ということについての、何かの参考になれば幸いです。
経過について、私が勘違いしている点もあるかもしれませんが、ご容赦ください。

どうしても当事者ですと、すべての点に対して怒りが出てきてしまうと思いますが、
冷静に、医療上問題になりうる点に絞って考えるということも必要かと思います。
もちろん、それ以外の点について非難するなというわけではなく、医療上問題がなくても
不誠実な対応や不適切な対応は非難されてしかるべきです。
しかし、医療上問題になりうる点と、そうでない点を分けて考えていく必要があるでしょう。
特に、今後、裁判の可能性がある場合は、ですが。
現実的には、大学病院側が弁護士を立てると言っている以上、解決を目指す場合、
残念ながら裁判の可能性を考慮する必要があるかと思います。

今後のご多幸をお祈り申し上げます。

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